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固体潤滑塗料ガイド|特性、用途、選び方

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会議する様子

1. 何故、固体潤滑塗料が必要なのか?


固体潤滑塗料は、機械部品の性能と寿命を改善させる特徴があります。この塗料は、機械の動きを支える摺動面(擦れる面)に適用することで、以下のような利点を提供します。

  • 摩擦と摩耗の抑制:
    固体潤滑塗料は、金属部品間(プラスチックやゴムにも適用可能)の摩擦から生じる問題(特に、摩耗やかじり、また摩擦係数の増大など)を解決する能力があります。摩耗やかじりなどは部品の性能を低下させ、時には故障につながります。油やグリースといった従来の潤滑剤もこれらの問題への対応策として使用されてきましたが、高負荷や高荷重下では、液体潤滑剤が圧出され効果を十分に発揮できない場合があります。
  • メンテナンスの簡便性:
    固体潤滑塗料の使用は、メンテナンスの必要性を大幅に減少させます。液状の潤滑剤は適用部位以外も汚染し、その結果、定期的な清掃と再適用が必要となることがあります。しかし、固体潤滑塗料は長期間その効果を維持し、結果として機械のダウンタイムを減らし、メンテナンスに関わる労力とコストを削減します。
  • 油との併用による効果:
    固体潤滑塗料と潤滑油を併用することで、特有の利点を得ることができます。機器の使用初期段階で、油膜形成が効果的に行われ、その後の摩擦や摩耗も効果的に抑えられます。特に、油膜が破れるような高荷重がかかる状況でも、固体潤滑塗料の存在により金属部品同士の直接の接触を防ぎ、スムーズな動きを維持します。これにより、部品の寿命を延ばすだけでなく、潤滑の品質も向上します。
この動画では、金属板と固体潤滑塗料を塗装した金属板で、潤滑性能を簡単に比較しています。

2.固体潤滑塗料の基本と応用

固体潤滑塗料は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、グラファイト、二硫化モリブデンなどの粒子を含む、いわゆる「固体潤滑剤」を含んだ塗料です。これらの成分はそれぞれ独特の潤滑特性を持ち、使用用途に応じた塗料の設計が可能です。

適切な配合によって、金属、プラスチック、ゴムなど、さまざまな材料の摩擦や摩耗を効果的にコントロールすることができます。

これらの固体潤滑塗料は、その性能のため、自動車産業、家庭用電化製品、発電所、宇宙開発など、多岐にわたる分野で動く部分の潤滑や摩耗防止に採用されています。これにより、各種機器のパフォーマンス向上や寿命の延長を実現し、多大な経済的・環境的利益をもたらしています。

3.固体潤滑塗料の代表的な特性

以下は代表的な特性ですが、他にもさまざまな特性を付与することができます。潤滑+αのようなことも可能ですので、ご相談ください。

低摩擦性

PTFEを使用した塗料は、低面圧領域で優れた潤滑性を有します。特に摩擦係数値が低く、さまざまな部材へコーティングできます。

耐摩耗性

複数の固体潤滑剤や粒子を複合することにより、低摩擦性と耐摩耗性の非常に高いコーティングを作製することができます。

耐荷重性

二硫化モリブデンは優れた耐荷重性があり、さまざまな機械部品にコーティングすることで、故障リスク低減や性能向上が見込めます。

耐焼き付き性

金属部品が摺動する場合、焼きつきのリスクがあります。固体潤滑塗料をコーティングすることで効果的に抑制することができます。

4.固体潤滑剤の種類と特性

上記は代表的な固体潤滑剤と呼ばれる物質です。この物質をさまざまな組み合わせで調整することにより、ニーズにあった固体潤滑塗料を提供することが可能になります。弊社は長年のノウハウを蓄積しており、さまざまなニーズに対応した製品をご用意いたします。特殊な用途にも対応しており、専用開発品も作製いたします。

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)

化学的に安定
温度範囲が広く、低面圧で有効
非粘着性
白色

二硫化モリブデン

高荷重下で低摩擦の層状物質
μ=0.03(大気中)
350℃から酸化
真空中600℃可
高湿度雰囲気では潤滑性能が低下

グラファイト

層状化合物
吸着物質がないと摩擦摩耗が増加する
真空中では潤滑性低い
MoS2に比べ電気伝導性・熱伝導性良
>500℃で急激に酸化

その他の潤滑剤

窒化ホウ素、MCA、銅など




5.各種潤滑形態について

現代の技術産業において、高度な潤滑技術は欠かせない存在となっています。私たちの提供する固体潤滑塗料「デフリック」もその一つとして、多くの産業での要求に応えるべく開発されています。ここでは、固体潤滑塗料を使用した技術の独自特性を考察します。

  • ドライ潤滑:
    潤滑油やグリースを必要とせず、真空や高温環境での揮発や低温時の固化を避ける場面での利用が考えられます。この形態は、航空宇宙部品や半導体製造装置、カメラ部品などで特に重宝されます。
  • 初期なじみ:
    固体潤滑塗料と潤滑油を併用した際に、摺動の初期段階での油膜形成を促進する塗装のことを指します。部品製造時の研磨コストを削減できるというメリットがあり、トランスミッションの歯車やメタル、ピストンなどでの利用が考えられます。
  • かじり防止:
    油併用時に油膜が破れた際の金属間接触や特定の面圧を超えても滑り続ける能力を持つ形態です。金属の突然の接触や部品の交換の際のメンテナンス性を高める効果があり、スタッドボルトやコンプレッサ部品、タービンのブレードなどでの使用が挙げられます。

私たちの固体潤滑塗料は液体潤滑剤との併用も可能です。併用することで、さらに幅広い用途での最適な潤滑を実現することができます。

6.固体潤滑塗料の選び方

適切な固体潤滑塗料の選択は、お客様の特定のニーズに基づいて行われます。以下のような基準を用いて、最適な製品の選定をお手伝いさせていただきます。


  • 使用荷重領域:
    製品が適用される荷重条件を考慮し、それに適した耐荷重性能を備えた塗料を選びます。
  • 使用環境:
    温度、湿度、化学的影響など、特定の作業環境下での要求を満たす製品を提案します。
  • 油併用の可否:
    潤滑油やグリースなど他の物質との併用が可能かどうかによって、適切な製品を選定します。
  • 被膜の電気特性:
    電気的な要求(導電性、絶縁性など)に応じた製品を選びます。
  • 熱特性:
    使用される環境の温度範囲に応じて、熱安定性や熱伝導性を考慮した塗料を選定します。
  • その他:
    その他要求項目に応じて調整いたします。

初めに代表品番の製品をお試しいただき、その使用結果を基に、更なる改善点や調整を行い、お客様に最適なカスタマイズ製品の提供を目指します。このプロセスを通じて、最高のパフォーマンスと効率を実現する製品をご提供いたします。

7.代表的な試験方法と測定例

固体潤滑塗料の性能を実証するための試験は、その特性を正確に評価することが非常に重要です。我々は、業界の標準に準拠した方法を用いて、製品の品質と性能を確認しています。

試験方法:

FALEX試験機を用いたMIL規格の試験を実施しました。この試験では、Vブロックとピンを試験片として用い、ピンをVブロックで固定して摩擦を測定します。使用したバインダーとしては、ポリアミドイミド樹脂を採用。固体潤滑剤としては二硫化モリブデンを選択しました。

測定例:

  • デフリックコートのみの試験:
    ドライ潤滑の状態として行い、低荷重では摩擦係数が高かったが、荷重が増すにつれて摩擦係数は低下しました。
  • 潤滑油のみの試験:
    摩擦係数の動向はデフリックコートの場合と異なり、特定の荷重がかかった際に急激な摩擦系数増大がありました。
  • デフリックコートと潤滑油の併用:
    初期に適切な油膜形成が可能となり、高荷重時でも金属同士が接触せず潤滑性能が維持されました。


具体的な数値やグラフに関しては、下部に示します。

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8.弊社の固体潤滑塗料について

川邑研究所の固体潤滑塗料「デフリック」は、長年にわたる専門的な知見と技術の蓄積を基に、お客様の具体的な要求に応える形で製品開発を行っています。私たちは、実際の機械に近い条件でのテストが可能な多くの摺動試験機を保有しており、これにより各種の模擬実験を経て、特定の摺動条件に最適化された製品を提供しています。この結果、私たちの製品ラインナップは、派生品を含め、数百種類に及ぶ豊富なバリエーションを誇っています。

機能性固形潤滑剤は川邑研究所へお任せください!

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